あの鳴瀬先輩を手懐けた姉御。
俺はそんな姉御と二人で体育館の外に出て話していた。
「楽しそうにやってるじゃない。
安心したわ」
「俺、そんなに心配されてたんですね。
先輩達から」
「まぁ、普段からバスケにしか目が行かない子だったから。
優太はもちろんだけど、和也も心配してたのよ」
杉崎先輩も……。
いつもハイテンションだけど、実は仲間思いだったりする杉崎先輩。
「……実はあたし、大和がバスケ辞めちゃうんじゃないかって……ちょっと心配してたの」
「俺が……ですか?
どうしてまた……」
姉御は空を仰ぎながら少しだけ口元を緩めた。
「あたし達が卒業した後の部活のことね……栞奈から聞いてたの」
「俺が中三のときの……ですか?」
「そう。
栞奈は大和のことしか話さなかったけどね……いつも泣きそうな顔で話してた」
栞奈が……?
自分でも顔つきが変わったのがよく分かった。
それを見て姉御が笑う。
本当に栞奈が好きなのね、と。