青空バスケ


楓先輩……姉御は俺に気づくと、にっこり笑った。


「久しぶり、大和」


そうだよ。

この人は普通にしてれば美人なんだよ。

ただ……普段が姉御すぎるだけで。


「姉御……何で女子高生が男子二人を締め上げてるんスか……」

「そんなの決まってんじゃない。
可愛い後輩の仇よ」

「可愛い後輩……?」


俺は自分の腕の中にいる栞奈を見た。

姉御は小さくため息をついた。


「……可哀想に。怖かったのね」

「姉御……コイツら……」


俺がそう言うと、姉御は恐ろしい目つきで男子二人を睨んだ。

ひぃっ!と震え上がる二人。


「ほら!
早くあの子に謝りなさい!」

「「す、すみませんでした!!」」


栞奈は何も言わずに俺にしがみついている。

すると、締め上げられた男の内の一人が怪訝そうに俺の方を見た。


「……やっぱり高瀬かよ」


小声でそう言われた。

……やっぱりって何のやっぱり?