「栞奈、帰るぞ」

「え?あ、ちょっと……!!」


栞奈を引っ張り、失礼しますと先輩に挨拶をしながら体育館を出る。


「あたし、スーパー寄って帰るよ?」

「あぁ、俺もついてく」

「いいの?疲れてるでしょ?」

「大丈夫だって。
いつも翔太と1on1してるし」


そうだね、と笑う栞奈の笑顔は小さい頃と何も変わらない。

俺はいつもこの笑顔のそばで……この笑顔に支えられながらバスケをやってたんだ。

バスケは好き。

小学生の頃に始めてからずっと好きだ。

でも、それよりも前から好きだったものがもう一つ。


「大和、見て!
新商品だって!」

「いや……それ、危ないだろ。
抹茶豆腐ヨーグルト味って……混ぜすぎだし」

「えー、そうかな?」


いつも無邪気な笑顔で、小動物みたいにちょこちょこしてて、そんな姿に癒されて。


「でも、意外とおいしいかもよ」


何があってもその笑顔には敵わない。