「そういや、アズイチも同じブロックだっけ。
俺、時々顔出しに行くんだよな」

「時々……?」

「そうそう。
今、二年に良いのがいるんだよ」


二年に……良いの?

アズイチにどんな選手がいるのかは知らないけど、俺の頭の中には一人しか思い浮かばなかった。

……絶対にアイツだ。


「俺もちょこっと見たけどさ。
確かに筋が良いな、アイツ」

「……へぇ」

「あれ……そういえば光ヶ丘出身だって言ってたけど……大和知ってる?」


ハル兄の視線が俺に向けられる。

……知ってるも何も……


「……さぁ」


そう答えるだけで精一杯だった。


あれだけ仲間を侮辱して退部しておきながら、またバスケを始めたアイツ……。

到底許す気にはなれない。


「大和?」

「……風呂入ってくる」


ハル兄と兄貴の視線を背中に感じながら……俺はリビングを出た。