「あの時まだ小学生だった大和が、まさか俺と同じ舞台を目指してるなんて……俺も年取ったな~……」

「もう25だもんな」

「稜ちゃん、言葉には気をつけようね。
まだ25だから。
大和に言われるならまだしも、稜とは4つしか変わらないから」


大好きなバスケから離れて会社員として働いてるハル兄。


現実なんてそんなもんだ。

いくらバスケが好きでバスケに青春を捧げていたって、それを職業にして食べていけるのなんてほんの一握り。


何も考えずにバスケだけを考えて生きていられるのは学生時代までだと思う。


だから……だからこそ。

俺は今を一生懸命頑張りたい。

もうこんなに熱くなれるものに出会えないかもしれない。

こんなに良い仲間に出会うこともないかもしれない。


だから悔いのないように精一杯頑張りたい。


「準決勝って秀華とだっけ。
あそこ、俺らの時代から強かったんだよなー」

「ハル兄はどこだっけ」

「俺?俺はあそこだよ。
アズイチ」


俺は目を見開いてハル兄を見た。

ハル兄は特に気にした様子もなくお茶を飲みながらゆったりとした口調で話す。