「もしかしてその人の名前……」

「名前?
あー……何だったかな。
愁、知ってっか?」

「ったく……玲は本当に名前覚えんの苦手だよな。
谷優太だよ」


谷……優太……。


「って……谷先輩?」


あたしは大和の方を見た。

大和も驚いた顔をしながら先輩達を見ていた。


「王子ってあだ名付くの羨ましいですよねー。
俺なんか絶対そんなん付かないし」

「レイレイは付きそうだけどねー、そういうの」

「ナグさんは王子っていうかチャラいからなー。
見た目も性格も」

「あー、確かに。
何かいつも違う女の子と歩いてるイメージだよねー」

「あれ?昨日とは違う子……?
的な感じですよね!!」

「そうそうー!
蓮、分かってるねー」


楽しそうに会話をする相沢先輩と蓮ちゃん。

……その後ろで何か恐ろしいオーラを発してる南雲先輩。


「……へぇ。
お前ら、俺のことそういう風に思ってたわけね」

「な、なななナグさん!?!?」

「ち、違うよー。
レイレイがモテるからちょっとした嫉妬だよー……」

「上等だ、表出ろコラ」


ひぃっ!と怯え上がる二人に、笑顔で二人に近づく南雲先輩。

こ……怖い。


「……何でウチの部員はこんなんばっかなんだ」


鳴瀬先輩のボヤきは聞こえなかったことにしよう。