俺は練習を中断して谷先輩と一緒にベンチに座った。

久しぶりすぎて、何か不思議な感じがした。


「カズに聞いたよ。
この前三里に偵察に行ったんだって?」


谷先輩は杉崎先輩のことをカズって呼ぶ。

二人は中学の頃から仲が良かった。


「先輩達に連れて行かれたんですよ。
杉崎先輩、相変わらずハイテンションでしたよ」

「あー、カズはな。
俺も時々会うけど、通りすがりの人がみんなビックリする」


苦笑いする先輩。

どんだけうるさいんですか……杉崎先輩。


「栞奈は元気?
全然会ってないから心配なんだけど」

「元気っすよ。
何にも変わってないです」

「そっか。
うん、お前達が元気なら安心した」


谷先輩はマジでお父さん的存在。

面倒見がよくてしっかり者。

俺達部員のことをよく考えてくれてた。