そんな日がしばらく続いたある日。

俺がいつものようにストバスでバスケをしていたときのことだった。

シュッという音をたててゴールに入ったボールが下に落下してコロコロ転がっていった。

それを拾おうとボールが転がっていった方に足を進めようとした……その時。

誰かがスッと静かにボールを拾った。


「こんな時間まで練習か。
相変わらずのバスケ馬鹿だな」


聞き覚えのある柔らかな声に俺は自分の耳を疑った。

まさか……。


「谷先輩……?」

「久しぶり、大和」


優しい笑顔。

間違いない。

光ヶ丘中学バスケ部元部長、谷優太先輩だ。


「え……何でここに……」

「チームメイトに聞いたんだよ。
最近ここのストバスで夜遅くまで練習してる男子高校生がいるって。
しかも、青桜のジャージを着た高校生」


うわ、何か俺メッチャ目撃されてんじゃん。

ビックリ。


「ここ、大和の家の近くだし。
もしかしたらって思って来てみたら、ビンゴ」


そんなバスケ馬鹿、この辺じゃ大和ぐらいだもんな。


そう言って谷先輩は笑った。