「……それから中学を卒業するまでアキ君とは一度も話しませんでした。
でも、高校に入ってまたアキ君がバスケを始めたって先輩から聞いて……」
谷先輩から聞いた。
アキ君がバスケをまた始めたって。
少し驚いたけど、でもアキ君はバスケが大好きだったから。
当然かな、とは思った。
「……でも、アキ君は本当に優しくて真面目でいい人なんです。
あんなこと言うなんて……きっと何かあったんだと思います」
何かは分からないけど……。
アキ君がああしなきゃいけなかった何かがあったはず……。
『暁弥のこと……もう許してやって』
高校に入ってすぐ。
谷先輩に会ったときに、アキ君がバスケを始めたことと一緒に先輩はそう言った。
……先輩達は何か知ってるのかな。
「だから大和はあんなに毛嫌いしてたのか……」
蓮ちゃんがちょっと納得したように言う。
「……ショックだったんだよ。
ずっと仲良しだった友達にあんなこと言われて」
「……まぁ、大和の気持ちは分かるな。
俺も愁とか夏樹にそんなことされたらキレるし」
南雲先輩が指でボールを器用に回しながら言った。
「……でも、仲良かったんだろ?
栞奈としてはまた元の二人に戻ってほしいわけか」
「……はい」
鳴瀬先輩の言葉にあたしは頷く。
戻ってほしい。
また三人で並んで歩きたい。
そう思ってるのはあたしだけなのかな……。