大和はアキ君に詰め寄ろうとしました。

でも、先輩達が必死で大和を止めました。


「大和、いいから」

「けど!!
このまま黙ってろって言うんですか!?」

「お前がいったらケンカになるだろ。
ここで問題起こしてどうする」


部長の言葉で、大和は仕方なくアキ君の方へ向かっていた足を止めました。


「……アホくさ」


……そう最後に言って、アキ君は出ていきました。




次の日から、本当にアキ君は来ませんでした。

先輩達ももう引退。

次の部長に大和が指名されました。


……でも、部員達には元気がなくて。

部活自体に覇気がありませんでした。


いつもなら部活が終わった後、アキ君と二人で1on1をしていた大和。

……あの日は一人で体育館に残っていました。

ドリブルをして……シュート。

いとも簡単に入るボールを見つめながら……大和は動きませんでした。

ゴールに入り、落ちてきたボールを拾うこともなく、ただ見つめていました。


……大和は泣いてました。


悔しくて、寂しくて。

あんなことを言われても、アキ君は大和の親友だったから。


――ずっとバスケを続けて

俺達はずっと仲間――


アキ君がそう言ったのに、アキ君が真っ先に辞めていった。

約束を破った。

仲間を裏切った。


……多分、大和の中で寂しさや悔しさが全部憎しみに変わっていったんだと思います。


部長として部を引っ張っていかなきゃいけない責任。

アキ君のこと。

大和はもういっぱいいっぱいだったんだと思います……。