「高瀬先輩!岬先輩!
あの人誰なんですか!!」
アキ君が行ってしまった後、花井君がアキ君が歩いていった方を見ながら騒ぎ始めた。
「翔太……落ち着け」
「鳴瀬先輩はいいんですか!?
あんなにナメられて!!」
「今心配するのはそこじゃないだろ……」
鳴瀬先輩はそう言いながら未だに動かない大和の方を見た。
「東第一高校エース、中山暁弥」
あたしの後ろから聞こえてきた言葉に大和がピクッと反応した。
花井君の質問に答えたのはあたしでも大和でもなく……蓮ちゃんだった。
「大和と岬と同じ、光ヶ丘中学出身」
「……そうだよ」
大和がぶっきらぼうに言う。
いつもとは違う大和の様子に花井君は口をつぐんだ。
「そんな強いの?アイツ」
蓮ちゃんはいつもの調子で大和に声をかけた。
「……あぁ」
「お前がそんなにイラつく程強いんだ?」
「……違ぇよ。
確かにアイツは強いけど……そんなんじゃない。
アイツは……」
そこまで言いかけて大和は口を止めた。
静まる空間。
この重たい空気を遮るかのように、鳴瀬先輩が大和の肩にポンッと手を置いた。
「まぁ、今はいいじゃねぇか。
な?玲」
「そうだな。
これは大和とあの中山って奴の問題だ。
俺達が首を突っ込むことじゃない」
「じゃあー、カンちゃん。
帰りに一緒にアイス食べて帰ろー」
「あ、いいですね!」
「大和はほっといて二人で行こうねー」
そう言いながら相沢先輩があたしの肩に腕を回してきた。
すると、さっきまでピクリともしなかった大和が勢いよく振り向いた。
「相沢先輩!!
何やってるんすか!!」
「先輩と後輩の仲を深めてただけだよー」
「深めなくていいです!!」
そう言って相沢先輩からあたしを引き離す。
あ……いつもの大和だ。
そっか……相沢先輩……。
……先輩達、ありがとうございます。
あたしは心の中でそっとお礼を言った。

