「やーまとちゃん」


後ろから呑気な声が聞こえてきたかと思うと、スッと栞奈の手の上から俺の手を包んだ。


「そんな怖い顔しないの!!
ほら、栞奈も心配してるよ!!」

「……分かってますよ」

「まだアッキーと仲直りしてなかったの?
もー、相変わらず頑固なんだから!!」


こんなときでもハイテンションな杉崎先輩はある意味すごいと思う。


「みんな心配してたんだからね!!
大和とアッキーのこと!!」

「……すみません」

「栞奈、こんな幼なじみほっといて俺のとこおいでよー!!
楽しいよー、きっと!!」

「ちょっ……先輩!!
何言って……」

「だって可愛い後輩が頑固な幼なじみのせいで悩んでるんだよー!!
ほっとけないでしょー!!」

「大丈夫ですから!
もう大丈夫ですから!
……って、栞奈!
さりげなく杉崎先輩の方に行くな!」


先輩の方に行こうとしていた栞奈の腕を引っ張り、俺の方に引き寄せ、そのまま抱き締めた。


「へっ……や、大和!?」

「大和ちゃん大胆~!!」


顔が真っ赤な栞奈とからかう先輩。

でも、俺はこの腕を緩めなかった。


……俺、自分が思ってる以上に栞奈のこと好きかも。


心配かけてごめんな……栞奈。


俺は腕の中にいる小さな体に心の中で謝った。