「大和のヤツ気合い入ってんな~」


その日から大和は今まで以上に熱心に練習に参加するようになった。

喜ぶ先輩や監督。

でも、あたしは心配で仕方なかった。

大和が無理をしてるようにしか見えなかった。


「……岬」

「へ……?
あ、蓮ちゃん。どうしたの?」

「中山暁弥」


その名前を聞いた瞬間、あたしは目を見開いて蓮ちゃんを見た。


「アズイチの二年生エース。
大和と同じだな」

「蓮ちゃん……」


蓮ちゃんはスクッと肩をすくめて苦笑いした。


「大和に同じこと言ったら、すげぇ顔で睨まれちまった」

「……そっか」

「今はまだ聞かない方がいい?
大和と中山暁弥の関係」

「うん……そうだね。
もう二年になるし……もし二人が再会したら、何か変わるかもしれないから」


変わってほしい。

元の仲良しの二人に戻ってほしい。

それがあたしの切実な願いだった。