「監督、あの……」

「……ほっとけ」

「でも……」

「高瀬」


監督が振り返って俺の方を見た。


「……お前らの前では必死で堪えてたんだ。
今は……ほっといてやれ」


後輩の俺達には見せたくなかった……いや、見せられなかった……涙。

明るく振る舞ってたのは……俺達を励ますため。

先輩達まで落ち込んでたら、きっと俺達はずっとメソメソしてただろうから。


しっかりしてて、カッコよくて、何よりも尊敬する先輩達。

……だけど、中身は俺達と同じ高校生。


辛いときは辛い。

泣きたいときは泣く。


だから……今はそっとしておかなくちゃいけない。


「大和ー、置いてくぞ」

「あぁ……今行く」


……やっぱ尊敬します、先輩達。