すると、栞奈は頷くでも返事をするでもなく、小指を差し出してきた。


「約束!」


その笑顔はあの時と何にも変わってなくて、無邪気なままだった。


「約束、な」


俺よりも細くて小さい指に自分の小指を絡めた。

指切りげんまんって……何か子供の頃に戻ったみたいだな。


「頑張ってね」


……その笑顔は反則だっつーの。


思わず抱きしめたくなった。

俺が栞奈の方に腕を伸ばした……その時。


「お前らっ!!
いつまでサボってたら気が済むんだ!!」


ゲッ……鳴瀬先輩……。

すごい音を立てて扉を開けて教室に入ってきた鳴瀬先輩……。

ちょっとは空気読んでくださいよー……。


「愁ちゃーん、今結構良いところだったのにー」

「超青春でしたね!!」


相沢先輩に翔太まで……。

……ってか、お前ら部活は?

……人のこと言えないけど。