翔太が走る。

先輩達をマークしていた相手も必死でそれを追う。

……だけど、それが追い付くはずがない。


翔太は余裕綽々とゴール向かってボールを投げた。


「ほぉ。
花井のシュートか。
あんなに緊張してたのに、やっぱり先輩からの言葉のお陰か」


そう言いながらチラリと俺を見た。


「俺だけじゃないですよ」


翔太には伝わってる。

蓮や先輩達の思い。

あのコートに立ってるのは一人じゃない。

みんなで立ってる。

そして……ここに俺達もいる。


「峰原さん……だっけ。
あの人……良い司令塔だな」

「ゲームメイク……上手いね」

「今頃気づいたか、お前ら」

「「え……?」」


俺達は揃って監督の方を見た。

監督は真剣に峰原さんの方を見ていた。