大和side

ベンチに座り、コートを見渡す。

緊張してた翔太も落ち着いたようだ。


「随分花井を信用してるようだな」

「当たり前ですよ。
俺が直々に指導してやってたんですから」

「……指導っていうか、楽しんでただけじゃん」

「……栞奈、余計なこと言うな」


一応あれが指導なんだよ。

俺流の!!


「だが、一番信頼してるのは鈴山といったところか?」

「……まぁ。
……アイツは俺の親友ですから」


蓮の方を見る。

まだ少しだけ緊張が残ってる翔太をフォローしつつ、先輩にパスを回す。


「アイツはきっと次男坊だな」

「……監督、何の推察っすか。
……分かりますけど」

「分かるんだ……」


南雲先輩がシュートを決めた。

それを皮切りに、先輩達に勢いがつく。

鳴瀬先輩が相手からカットし、相沢先輩にパスをする。

まっすぐ進んでいくも、前に暁弥が立ちはだかる。


「……自分より背が高い中山に阻まれたか。
あのマイペースな相沢がどう出るか」


パス……だよな。

あのまま突き進めるのはキツイ。

となると、誰にパスを出すか……


「……鳴瀬、南雲、鈴山は無理だろう。
ということは……」


相手にガチガチマークされてる三人。

安全にパスできるのは一人しかいない。


「っ……!!」


相沢先輩は右でも左でもなく……高く、高く上にボールを投げた。

高く上げられたボールはマークされていた先輩達や、相手チームの頭上を追い越し……


「翔太!行け!!」


……ゴール近くにいた翔太の腕に収まった。