「でも、随分気持ち良さそうに寝てたね。
いい夢でも見てたの?」

「あぁ……すっげぇ懐かしい夢」

「懐かしい夢?」


栞奈が首を傾げる。

そんな栞奈の頭をポン、ポンと撫でて立ち上がり、窓際に立った。


「覚えてるか?
ハル兄の試合観に行ったこと」

「ハル君の……?
あぁ、インハイだったよね。
覚えてるよ」


懐かしいね、と微笑む栞奈。


「俺、あの時さ……一緒にインハイに行こうって約束したけどさ……約束、破るわ」

「え……?」


栞奈が不思議そうに首を傾げたのと同時に不安気に瞳が揺れた。

俺は小さく笑いながらそばに来た栞奈の頭を優しく撫でた。


「……連れていく。
俺が栞奈をインハイに連れていく」

「大和……」

「だから、応援してて。
……俺のすぐそばで」


いつだって一緒にいた。

生まれたときからずっと。

そんな栞奈だから

一番大切な人だから……

だから一番近くで応援しててほしい。