「……お前って本当……」
「え?」
「いや……何でもない」
大和がタオルをあたしに渡して蓮ちゃんの横に行くと、ニヤニヤした蓮ちゃんに肘で脇腹をつつかれてた。
そのまま監督の方へ視線をずらすと、監督が笑顔で親指を立てていた。
……本当に何なんだろう。
監督の横に戻ると、監督は上機嫌のままあたしに話しかけた。
「期待以上の働きだったぞ、岬」
「あたし……そんな褒められるようなことしてないんですけど……」
「いいんだ。
これで一人の男にスイッチが入ったからな」
スイッチ……?
「でも、俺は一つ学んだ。
……天然は怖い」
監督がボソリと呟いたのはあたしには聞こえなかった。
そんなことをしている間に第2クォーター開始。
「あれ……大和の動きが速くなってる……」
「だから言ったろ?
スイッチが入ったって」
始まって早々に大和が点を入れた。
それで火がついたのか、チーム全体がさっきまでとは違うオーラを醸し出している。
「こっちの作戦勝ちだな」
ニヤッと得意気に監督が笑った。

