「自分は別に何もない。
ケガなんてしてない。
ただバスケ部が嫌いになったから辞めるだけ。
……そう思わせたいために、上がらない肩を無理して上げてまで投げたんだ」
……何だよ、それ。
……バカじゃねぇの。
はっきり言えばよかったのに……。
何でそんなこと……。
……本当にバカだ。
気づかなかった俺も……バカだ。
「それでまた悪化したらしいけど……。
あの後、ちゃんとボールを当てた一年に謝ってたし……。
俺らには本当のことを言ってくれた」
「……何で俺達には言ってくれなかったんですか」
……そこだよ、俺が聞きたいのは。
何で先輩達には話して、いつも一緒にいた俺達には……。
「……暁弥が大和と栞奈にだけは言うなって。
コイツ、お前と一緒でバスケ馬鹿だけどさ。
……でも、それ以上に大和と栞奈のことが大好きだから。
心配……掛けたくなかったんだよ」
心配掛けるぐらいなら嫌われた方がいいってか……。
……バカだろ。
バカ以外の何者でもない……。
「……アキ君」
栞奈が声をかけると、暁弥はゆっくり栞奈の方を見た。
……栞奈は泣いていた。
……泣き虫。
いつもなら俺が泣き止ませる役だけど……今は違う。
俺はそっと暁弥に目配せした。
暁弥は少し困った様子だったけど……俺の思いが伝わったのか、ゆっくり栞奈のそばへ歩いていった。

