「相変わらずムカつくヤツっすね!!」


花井君が床を蹴りながらそう言った。

それを見て谷先輩が苦笑する。


「本当はすごく優しくて良いヤツなんだよ。
今は大和と敵対してるから悪いように見えるだけさ」

「谷先輩……アイツの味方するんですか」

「違うの大和!
暁弥は………」


楓先輩が何かを言いかける。

大和が怪訝そうに楓先輩の方を見る。


「何ですか?
姉御、ちゃんと言ってください」

「暁弥は………」


楓先輩がチラッと谷先輩の方を見た。

谷先輩は諦めたように息を吐いた。


「……暁弥は辞めたくて部活を辞めたわけじゃない」

「え………?」


辞めたくて辞めたわけじゃ……

じゃあ……どうして?

どうして……あんな風に……


あたしの頭の中で様々な疑問が出てくる。

それは大和も同じだったみたいで、呆然と谷先輩の方を見ていた。