『じゃあ、谷先輩のあの鉄壁のディフェンスにも弱点ってあるんですか?』

『そうね、あるわよ』

『え!?何ですか!?』

『それは自分で見つけてみなさい』


今思えば……姉御、こうなることを予測してたのかな。

だから敢えて言わなかったとか……。


秀華との差は埋められない程離れていない。

まだ勝つ見込みは十分にある。


……やるぞ、俺は。


南雲先輩から回ってきたボールを受け取ると、すぐに谷先輩が俺の前に立つ。

……見つけるんだ。

この人の弱点……抜け穴を……。


立ち止まり、ドリブルをしたままじっと谷先輩を見る。


右……左……どちらに行こうと、普通に抜こうとすれば止められる。


どうする……。

どうするよ、俺……。