大和side

ハーフタイムを挟み、第3クォーターが始まった。

ハーフタイムで栞奈と話してから、俺は谷先輩の動きをよく見るようにした。

先輩の……抜け穴。


『姉御って人の弱点見つけるの得意ですよね』

『観察眼があるって言って。
あたし、レギュラー全員の弱点は知ってるつもりよ』

『え……じゃあ俺もっすか?』

『当たり前よ。
大和はボール裁きはすごく良いけど、敵をちゃんと見てないわ』

『チームメートじゃなくて敵ですか?』

『そう。
大和のボール裁きがあればもっと上手く切り抜けられるはずなのに。
敵の動きをもっとよく見て、どういう風に対応したらいいか考えるべきね。
大和ならできるはずよ。
寧ろそれができるようになったら、更に強くなるわ。
相手の癖や動きに合わせた華麗なボール裁き。
誰も取れなくなっちゃうかも』


そう言って姉御は笑ってたっけ。

敵の動きをよく見て……。

それに対応できるような俺のボール裁き……。