体育館に入ると、すでに秀華の選手がいた。
もちろんその中には谷先輩と姉御も。
「DF王子ってあれか?
あのマネージャーの横にいるヤツ」
南雲先輩が秀華の方を見ながら聞いてきた。
「そうっすよ。
あの優しそうな顔の人です」
「確かに王子って感じだねー」
「お父さんみたいな人で心配性なんですよ。
あたしもよく心配されました」
あー……とみんなが納得する。
谷先輩と栞奈はお父さんと娘みたいだったもんな。
マジで懐かしい……。
「全員集合!」
鳴瀬先輩の言葉に全員が集まり、円陣を組む。
「相手は強豪校だ。
だが怯むな。
俺達はここまで勝ち上がってきた。
相手にとって不足はない」
鳴瀬先輩が一人一人の目を見る。
……と、俺のところで鳴瀬先輩の動きが止まった。
何かを訴えるように俺の目をじっと見つめる鳴瀬先輩。
俺は先輩の顔を見ながら力強く頷いた。
すると、先輩は満足そうに頷き返して声を張り上げた。
「行くぞ!!!」
「「オーッ!!」」

