あの後、助言通りに書いてみた。作文の流れが掴めたので、下校時間までには終わった。
先生に出すと「こんなに早く終わるのなら夏休みは入ってからすぐにやれ」と言われた。
全くその通りですね。
来年には夏休みが始まる前に終わらせますよ。

次の日、図書館に行った。「あれ?」
ソファーに高津が居ない。
「感想文どうだった?」
あれ?それなのに声が聞こえるぞ。
声のするほうはカウンターだった。
机が高過ぎる上に棚が置いてあって良く見えなかったが、そこに高津が座っていた。
「おお。そこにいたのか」
「一応図書委員だからね」
「アドバイスありがとな。おかげで下校までに出来た」
「一時間で?」
「おう」
少し不満そうに、早いのね。と呟くと、二冊の本を突き出してきた。
「飛鳥井さんの本貸してあげる」
「いいのか?」
「この人の話が男に受けるって思ってなかったけど、意外といたんだね。貸すからいつかこの人の本のことで語ろうよ」
「・・・この本を読んで感想文をまた五枚書けと?」
「誰がそんな解釈しろって言ったの」
こんな感じで、俺と高津は知り合った。