お父さんが台所に行ってしばらくすると、お母さんが目を覚ました。
「お母さん。おはよー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おはよう」
起き上がったが、焦点が合っていない。
「お腹すいた?」
「・・・・すいたかも」
「今、お父さんが作ってるよ」
「カレー?」
「そう。カレー」
「まぁ、総汰の作れる料理ってカレーだけだもんね」
「だから僕、カレー食べたいって言った」
「気遣い行き届いていてなにより」
頭を撫でてくれた。
「あのね。僕がお父さんの仕事場にご飯運んできた時にお父さんの左側に座るとね。頭撫でてくれるんだよ」
「仕事の邪魔だって怒らないの?」
「怒らない。ってか、あれは無意識だね」
「鈍感ね」
「お母さんもだよ」
「私も?」
「僕、結構お母さんの仕事場のソファーにいるよ」
お母さんは思い出そうとするが、全然気が付か無かったと頭を振った。
「でも、それ。振り向いたときにちょこんと座られていたら、座敷童子だーって逃げちゃうかも」
「それは困るね」
二人で笑った。
「でも、お母さんは相手してあげられてないから寂しくない?」
「お母さんの部屋。いつも曲が流れてたり、漫画がいっぱいあるから楽しい!」
「ならよかった」


「おーい。ご飯出来たぞー」
お父さんだ。
「じゃあ、行こうか」
お母さんと一緒に台所に入った。
「起きたか」
「起きた」
お父さんはお母さんの髪がぼさぼさなのを見ると噴出した。
「何さ?」
「別にー」
分からないお母さんもお母さんである。
「ねー。お腹ぐるぐるいうー」
「そうだな。早く食べよう」
三人で手を合わせて、いただきます。