全ての編集者と話をつけ終わると、寝室に戻った。
「ぐっすりだな」
「うん。ぐっすり」
戸の向こうの居間の壁に貼られているポスターを見た。
毎週土曜の九時に放送中のドラマのポスターだ。
真ん中には俺の字。
下の原作者のところには千沙の名前。
これで二度目だ。
初めてのコラボは息子が生まれる前。
先に籍は入れていたのだが、コラボ記念にとの部長の助言で式を挙げた。
その後、しばらくして息子が生まれた。
「・・・なにニヤケてる」
息子が俺と千沙を見ながらニヤニヤする。・・・気持ち悪いぞ。
「お父さんとお母さんを同時に見たの久しぶり」
「・・・久しぶりか?」
「うん」
そうだったか。確かに最近、仕事場に篭っていたな。
上手くかけないと、出てこれないときが度々ある。
「お母さんもなかなか出てこなかったし」
「・・・寂しかったか?」
すると息子は首を振った。
「お父さんは気づいてないかもだけど。僕、結構お父さんの仕事場は入ってたんだよ」
「え?」
「煙草捨てに来たり、ご飯置いたり」
「・・・全く気づかんかった」
そういえば、仕事中にメシを食っていた。持ってきた記憶もないのに。
「お父さんさっき、自分はのびないって言ってたけど、僕がご飯持ってきてたりしなかったら、お父さんものびてるんだよ」
得意気に鼻を膨らます息子に笑ってしまう。
「そうだな。父さんの健康はお前にかかってるな」
頭を撫でてやると、嬉しそうに笑った。
「お母さんはね。僕がお腹がすいた時間になるとね、仕事場から出てきてご飯作ってくれるの。たまにハンバーグがいいって言うと、面倒くさいって言いながら作ってくれるんだー。作ったらいつの間にか仕事に戻ってるんだけどね」
そう言うと。お腹に手を持ってきながら、今何時?と尋ねてきた。
「・・・何が食いたい」
「カレー!」
「分かった。ちょっと母さんと一緒にいてやってくれ」
「了解!」