放課後テリトリー

「おはようございまーす」
「いらっしゃい。お、高津じゃーん!」
書道部部室に顔を出すと、部長が飛んできた。
「ってか、その格好どうしたの?」
そう言われる高津はセーラー服の上に黒いマントを羽織っていた。
「いや、演劇部に今日一日着ていてって頼まれちゃって・・・」
「なるほど」
演劇部は高津にこう説明させながら出し物を見せびらかし、客寄せしようとしているのだ。
「演劇部も考えるわね」
そういいながら、携帯電話のカメラ機能で高津を撮った。
「なんで撮るんですか」
「なんとなく」
保存ボタンを押した。
「そんなことより私たちが書いたの見てってよ。石見は買出し行かせているからいないけど」
部員の作品は皆、流石といえるほど上手かった。
「皆さんの性格が現れているみたいです」
「字は正直だからねー。一生懸命書いた分だけ、熱意が伝わってくるんよ。逆に言えば、その人にやる気が無かったらすぐわかるってことー」
「なるほど」
確かに。授業で書かされて書いている人の作品とは技術は当たり前だが、雰囲気から違っている。
奥が深いものだ。と、高津は頷いた。
「石見のはどう?」
作品を指差しながら部長が尋ねる。
「・・・この人はこの先も書道をやっていくんですかね?」
「さあねー。でも、石見なら充分やっていける才能があると思う」
認めるのは悔しいけどね。と、笑顔で補足した。
「ところでさ。隣で茶道部がお茶飲ませてくれるらしいんだけど。私、飲めないんだよねー。代わりに行ってくれない?」
引換券を渡された。
高津はお礼を言うと、再度作品を眺めた。
「アイツに言っといてもらえますか?パフォーマンス頑張れって」
部長は笑顔で親指を立て、サムズアップのジェスチャーをしてみせた。