「あ!千沙ちゃん、千沙ちゃん!」
自分の名前を呼ばれたから振り返ってみると、目の前には普段見るとこのなさそうな服を着た水島真奈美がいた。
「何その格好」
「勇者!」
「勇者?」
腰の鞘から剣を取り出す。もちろん剣の形にきったベニヤ板に銀紙を貼っただけの物である。
「ロールプレイングしようよ!」
「何それ」
「簡単に言えば、演劇部はドラクエを教室内で再現してみましたー!的な」
「おお。それは面白そう」
「是非やってほしいなー。客寄せパンダとしてー的な」
「嘘でも言っちゃだめだ」
「嘘じゃないよー的な」
さっきからの語尾がうざい。
渋っていたら、さっさと腕を掴まれて連れて行かれてしまった。
「ねー。ひとりは嫌よ」
「大丈夫!こういうゲームはパーティがいるもんよ」
すると、後ろからこれも無理やり入れられた人が二人。
村上先生と鈴木先輩だった。
「あ」
「あ・・・・」
こりゃあ気まずい。
「いや、さっきここで偶然会ってな」
「真奈美ー!私、後から来てもいいー?」
手を挙げて聞くと、二人が全力で止めた。
「いろ!いいからいろ!」
「そうよ!一緒に居なさい!」
「えー」
初々しいな。先生何歳だよ。と、聞きたくなってしまう。
「え。帰っちゃうの?」
「やっぱやるわ」
「そう来ないと!勇者ご一行入りまーす」
三人で冒険が始まった。
「あ。私、魔法使いね」