放課後テリトリー

話終わると、鈴木は小さく笑った。
ここは笑うところなのか?
「それは君のことが羨ましかったからだよ」
「羨ましい?」
「あの子、いつだったか私に夢が無いとか愚痴ってたのよ。もう高校生なのにやることがないって」
そこまでいい終えるとまた、くすくすと笑った。
「でね、私その時にあ。この子も思春期っぽい悩みがあるんだって変に感動しちゃったのよ」
「あ。それ分かります。俺も、高津が歩いたときにあ。ずっと座ってるわけじゃないんだって思いました」
なにそれー!そ、大爆笑の鈴木。

笑いが収まると、それでね。と、話を続けた。
「頑張ってる友達を応援したかったんだと思うのよ」
応援?俺を?
「・・・アイツに似合わない言葉ですね」
「あれでも人間だからね」
この人さっきから高津を何者だと思っているのだろうか?

しかし、そうだとしたら、昨日のアレは、頑張ってよ。応援してるのよ。って言うことか?
分かるわけないだろ!遠まわしすぎだ!
「さて。これであの子の代弁は出来たかしら?」
「あ、はい。・・・ありがとうございました」
「いいのよ。あの子には借りがあるからね」
借り?
詳しく語らず帰ろうとした鈴木だが、そうだ。と、足を止めた。
「あの子に本借りたでしょ?」
「え?・・・あぁ、はい」
きっと飛鳥井って人の本のことだろう。
「あの子、あんまり本を薦めてくれないのよね。図書委員のくせに」
「はぁ・・・」
「つまりそういうことよ」
わからないんですけど。
訳の分からない言葉を残した鈴木は図書館を出て行った。