校長先生のご機嫌な笑い声が聞こえてくる。

「デビューするからと言って、学校を卒業するわけじゃないからなぁ。気を抜くなよ~」

そういう言葉すら歓喜に満ちていて、あまり説得力がない。

「それじゃあ、契約にうつさせてもらってもよろしいですか?」

「え、あ、はい」

魁人君が返事を返すと同時に後ろに控えていた男性が書類らしきものを社長さんに手渡した。

「こちらが契約書になります」

そういってあたしたち一人一人の目の前に置かれた書類。

それは確かに本格的な契約書だ。

これに記入したらあたしたちは正式に事務所所属になるんだ・・・。

あたしは少しのドキドキに手が震えるのをこらえながらペンを握った。


―――

「それじゃあ、これからお願いします。ばんばん働いてもらいますからね」

そういった社長さんに永遠君が言った。

「これから俺たちはあなたにお世話になる身です。敬語はやめてください」

「そうですよ。どんとかまえていてください」

彩奈ちゃんもそれに続くように言うとにっこり微笑んで見せた。

「それじゃあ・・・。君たちはまだ学生だし、あと2年はこの学校の生徒だ。でも仕事はしてもらう。レッスンはこの学校でしてもらうし、このまま寮生活を続けてもらうからな」

「「「「「はい!これからよろしくお願いします!」」」」」

あたしたちは声をそろえて返事をすると、頭を下げた。