コンコンッ

「校長先生、いらっしゃいますか?」

「あぁ。来たか。入ってくれ」

あたしの呼びかけに中からは心なしかはずんで聞こえる校長先生の返事が返ってきた。

「失礼します」

そういってドアを開けると、校長先生と対峙するように座る男性と、その後ろに立つ若い男の人が目に入った。

「やぁ。急に呼び出してしまってすまないね」

そういって機嫌よさそうに笑った校長先生に邏生君はいぶかしげな顔で質問する。

「いえ。ところで、こちらは・・・?」

「あぁ。申し訳ない。紹介するのを忘れていたね。こちら、芸能事務所の社長さんだ」

ざっくりとした説明・・・。

「初めまして。わたくし、しがない小さな芸能事務所の社長で森本と申します。こっちのは私の甥です」

あたしたちの怪訝な顔に気が付いたのか、挨拶をしてくれた社長さん。

「まぁまぁ座りたまえ」

あたしたちは小さくお辞儀を返すと、すすめられるままにソファに腰かけた。

「ところで俺たちはなんでここに呼ばれたんでしょうか?」

魁人君の質問に社長はご機嫌な様子で声高らかに

「こちらの方が、君たちの実力を見込んで、君たちを所属アイドルとしたいとおっしゃってくれてるんだ。在学中のオファーなんて、開校以来初の快挙だぞ」

そう言い放った。