彼はあたしを一人にした。







あたしの知らないところへ消えた。




『琴音ちゃん。
僕と結婚してくれる?』






そんな約束を残して。






馬鹿だよな。







10年前の約束なんて覚えてるわけないのに。







二人の夢だったんだよ。






結婚するって…。






あたしが彼の引っ越しをしったのは彼が引っ越ししてしばらく経った頃。







隣の家は空き家となっていて。






あたしは何日も何日も。







その家を覗いた。