お前に全て、奪われた。 Ⅰ



私が走って出て行こうとすると、手を引っ張られる。


「外まで、送らせてくれ。」


あまりにも、瞳が必死で



「は…い…」



そう答えずには居られなかった。


外に出ると思った以上に寒くて、指先はすぐに冷たくなった。



「次、いつ会える?」


「次…。」


次があるなんて思ってもいなくて、目を丸くする。



「また、俺を待たせるのか?」



指先をぎゅっと強く握られる。


離さないと語るその手。



「…やっと、会えたんだ。」



「お前にたとえ大切な人がいても



俺は諦められる自信が無い。」



セイさんの胸に引き寄せられ


ぎゅっと抱き締められる。




「…お願いだから。」




誰よりも大人っぽいその人が
一瞬だけ少年の様に見えた。