お前に全て、奪われた。 Ⅰ




私は悟った

セイさん以外、誰も私を歓迎していない。と。


空気が怖かった。

私を見る視線が、なによりも怖かった。



「…帰ります。」



唐突な言葉に、セイさんは瞳を揺らす。



「これから用事でもあるのか?」



「…はい。」


嘘にきまってる。

ただこの場から逃げるためのウソ。



「そうか…送ってく。」


「大丈夫です、もう…。大丈夫です。」



私は立ち上がって、深くお辞儀をした。



「ありがとうございました。色々助けてもらっちゃって、久しぶりに楽しい時間が過ごせました。」



楽しい時間だったというのは本当のこと。

普段の日常からはかけ離れた世界に、

胸がドキドキしたのは間違いない。