お前に全て、奪われた。 Ⅰ



二人掛けのソファに、私と隣にはセイさんが座った。


「いくつか質問させて欲しい。」


「…はい。」


また、瞳の奥がキラキラと光る。


それは、私を疑う様な瞳。


その時、感じた。
まだ、ヒョウさんは私を疑いの目で見ている。

ヒョウさんだけじゃない、きっとその奥でジッと見つめる零さんも。



「君の名前は?」


「月島ーー、アンです。」


「アンちゃんね。

アンちゃんは、噂の事勿論知ってるよね?」


知りたくなくても、嫌でも耳にするあの噂の事に違いない。


「はい。」


「あの噂、俺は馬鹿げてると思うけど実際のところはどうなの?今メガネかけてるけどもしかして…?」


「本当か、嘘かは私にはわかりません。

本当だった時のために私はメガネをかけています。

でも、直接見てもセイさんと、ヒロくんには何も起きませんでした。」



「そっか、これで少しはあの臆病者も安心するかな。」


と、苦笑いを浮かべた。


「そうえば、ヒロくんは言ってました。

大切なもの、奪われちゃったーーっ」



確かに、あの時言ってたはず。


私は知らず知らず、やっぱり人に迷惑をかける存在。


「謎ーーだね。」



「最後に、もう一つ質問良い?」


私はその問いかけに、静かに頷いた。