「ほら、ヒロのせいでセイが大変な事になっちゃったじゃん。」
大変な…事?
私は後ろを振り返ってセイさんを見た。
「…餓鬼、離れろ。」
…ぎゃ。
悲鳴を上げたかったけどもそれさえも声に出来ない程、セイさんは殺気を出していた。
それは、まるで般若の様で。
ヒロくんが泣いちゃうかも。
そう思った私の予想を見事に裏切り、更にぎゅーっと、力を込めて私に抱きついた。
極め付けには、あっかんべー。
「はあ、何煽ってんの。」
溜息をまたつく、白衣の人であった。
「餓鬼だからって調子に乗ってんじゃねえぞ。」
「僕面倒臭いの嫌いなんだよね、じゃあとはよろしく可愛子ちゃん。」
手をひらひらさせて、また部屋の奥に引っ込んでしまった。
こんな状況で置いていかれてしまった。



