お前に全て、奪われた。 Ⅰ




カツ…カツ…。


さっきまでの挨拶合戦は嘘だったかの様に室内は静まり返る。


そのせいで、私の足音が響き渡る。



それに、気のせいだろうか…?


何か皆私を見て震えている様な…。



そんな状況で、また一つの音が室内に響く。



「……チッ」



…セイさんの舌打ちである。



「…テメェ等、挨拶の一つもできねぇのか?」



……セイさんは、お怒りの様である。



そんな、セイさんの声に此処に居る誰もが震え上がる。


そして、半泣きになりながら私に挨拶をし始めた。


直接的に私が何かした訳では無いけれど、涙目の厳つい人達を見たら罪悪感で一杯だった。