お前に全て、奪われた。 Ⅰ




「月島……__」



そこで一旦ストップして、その先を言わない私を不思議そうな瞳で見つめる。



「…その先は…?」


「アンです……。」



消え入りそうなくらい小さな声で言った。



「アンか、良い名前だな。」


「…っ。」



初めて、誰かに名前を呼ばれたのは素直に嬉しい。


…でも、


同時に、自分の名前が大嫌いな私にとって、とても複雑なものだった。



「セイさんは、おいくつ何ですか?」



名前の話題を避けようと、あからさまに話題を変える。


実際、年齢くらい知っておきたいし…。



「…今年で18。」



……じゅ、じゅうはち!?

幾ら何でも、若すぎる。

というか、セイさんの外見が大人っぽすぎるんだ。


絶対20歳は越えて居ると思っていたのに。