お前に全て、奪われた。 Ⅰ





「あの…」



只今、車で移動中。


乗るのにはかなり躊躇ったけど、やっぱりこの人には抵抗するのは難くて、半ば無理矢理に乗せられた。


車内は外観からみても予想通りの豪華さ、座席はふかふかしていて気持ち良いし、車内はとても広い。


そう、私達の座席だけで6人くらいは乗れちゃうんじゃないかってくらい広い…のに。



「少し、近すぎませんか…?」



私達は密着しまくっていた。


そんな私達をミラー越しにさっきの厳つい人が見ていてしかもにやけて居る。


どうしよう…こんな人前で恥ずかしすぎる…。



「…セイさん!お嬢さんが困ってますよ!」



と、相変わらずにやけながらも厳つい人がフォローしてくれた。