お前に全て、奪われた。 Ⅰ




外に待っていたのは黒く光る高級外車。




「この車、物凄く高そう…」



「セイさん、お疲れ様です。」



車の中からはスキンヘッドにサングラスという、まるでSPみたいな風貌をした厳つい男の人だった。


そしてその男の人は私達の前に来て、深々と頭を下げた。



…えっ、何でこの人見ず知らずの人に頭下げてるんだろう…。



「…あぁ。」



スキンヘッドの人をチラッと見ると、その横を通り過ぎその高級車に乗り込んだ。


私も腕を掴まれていたので必然的に車に乗る事になる。


…で、でも。



「ちょっと、待ってください!」


「…どうした?」


「この車って…」



そこ迄しか言っていないのに私の言いたい事を察したのか



「あぁ、そうだ。」



「…で、ですよね。」



私は苦笑いを浮かべ、その場で立ち尽くした。