お前に全て、奪われた。 Ⅰ




「…何故笑う?」


「これをくれた人と全く同じ事を言うので…つい。」



すると、一気に黒いオーラが立ち込め、肩をガシッと強く掴まれる。



「……もしかして、男か?」



店主さんの事かな?



「…はい。」


「大切な人なのか?」


「えと、はい?」



店主さんは、私にとって大切な人?だよね。

唯一店を開けてくれる人で数少ない私のお友達?だから。



「…行くぞ。」



恐怖を感じさせるような低い声で私の腕を強く引っ張り外へ出た。


何か、怒らせちゃう様な事私無意識に言っちゃってたのかな。


その後も声をかけることが出来ず、ただその大きな背中を見つめて居るしかなかった。