「…あまり、こっちを見るな。」
プイッと顔を背けられた。
ズキズキと、心が痛む初めての感覚。
痛いーー心臓が破裂しそうだ。
「ごめん…なさい。」
「ちげぇ。」
「…。」
「…れい………」
ボソッと何かを言うがあまりにも小さくてその言葉は聞き取る事が出来ず思わず聞き返す。
「…あの、もう一度いってもらえませんか?」
「……綺麗だ。」
カァッと顔が真っ赤になって行く。
さっきとは違う理由で心臓が破裂しそうだ。
そして、長い沈黙が訪れた。
「行きましょうか。」
と、私は沈黙から抜け出そうと言った。
「待て、忘れ物だ。」
「…あ、ピン留め。」
スッと私の髪の毛にピン留めをつける。
何だか昨日の店主さんを見ているみたい
。
「…ん、綺麗だ。」
「…ふふ。」
と、店主さんと、同じ事を言うから思わず笑ってしまった。



