全部、私からだった。

「彼がミスをしたのは、私のせいだと言いたいんですか?」

心とは裏腹に、強い口調で言い返していた。



「ええ、そうよ。彼は刑事なのよ。国民の安全を守る義務がある。仲間を危険にさらすようじゃ、一般市民なんか、尚更守れるはずないじゃない」


「あなたたち仕事仲間にとって、彼は国民の安全を守る刑事かもしれない。けれど、私にとっては、そんなの関係ない。ただの『谷口陸朗』でしかないんです」

そう言い返すと彼女は、怒るどころか悲しげに苦笑した。



そして、優しく、諭すように、丁寧に、静かに――

その口から言葉を紡ぎ出した。



「あなたの我儘一つで、何十人、何百人、もしかしたらそれ以上の、罪のない人たちが亡くなるとしたら? それでもあなたは、同じことを言える?」