全部、私からだった。

「やめろと言われても……こっちも困り果ててるの。今彼、使いものにならない。仕事に支障が出てるのよ」

言いながら彼女はスッと立ち上がる。彼女の目線が私のそれより高くなった。



「座って話しましょう」

彼女は私の両肩に両手を優しく添え、そっと、軽く押さえて私を椅子の上に落とした。



どう返せば良いかわからず、俯いたまま黙っていた。

身体が私の意思とは無関係に、フルフルと微かに震えだす。



「あの日、谷口くんは重要な任務を負っていた。でも、早々に片付けようとして、とんでもないミスを犯した。普段の彼なら有り得ないことよ。彼の仕事振りはいつだって完璧なの」


彼女の言葉は私の耳に入ってきているようで、いないようで。

まるで現実ではないような、そんな錯覚すら覚えた。