全部、私からだった。

「あなたに話があって来たの」

見知らぬ女性は唐突にそんな事を言う。



「私に?」

「ええ、谷口くんのことで」


その名を聞いた途端、たちまち動悸が激しくなり、息苦しくなった。

そんな私を見て彼女は、「大丈夫?」と心配そうに声を掛ける。



「彼の話はやめてください」

息も絶え絶えに訴えた。



彼女が誰だとか、りっくんとどういう関係だとか、そんなことはどうでも良かった。



やめて欲しい、りっくんの話なんか。

ようやく、枕を濡らさずに朝を迎えられるようになったのに。