全部、私からだった。

りっくんは、「俺、朝食はいつもコーヒーだけだし」などと言いながら、このくそ暑いのにホットコーヒーをいれてくれた。


「コーヒーは朝食じゃないからね」と冷静に指摘しながらも、カップに口を付けて一口すする。


あっちぃー。



――と。

携帯電話の着信音がけたたましく鳴り出して、驚いて肩がピクッと跳ねた。


すぐさまりっくんは、流し台の上に置いてあったそれを手に取って電話に出た。

「谷口」

りっくんは至極不機嫌顔で、電話の相手に素っ気なく言う。



なんとなく、仕事の電話のような気がして。

私は椅子に腰かけたまま動きを止め、じっと耳を傾けていた。