全部、私からだった。

その後、服を着るのにも、かなりの時間を要した。

だって、りっくんが邪魔をするから。


私の下着をどこかへ隠したり、苦労してはめたブラジャーのホックを、片手でポツッとまた外したり。



「もお! 早く出掛けたいんだけど」

右腕を大きく振り上げて怒鳴りつけた。

実は本気で殴ってやろうと思った。



「いいじゃねぇか、今日はまるっと一日一緒にいられるんだし」

言いながら、りっくんは軽い身のこなしで、逃げるように素早く私から離れる。


大きな身体をしているくせに、すばしっこいなぁ。



朝ご飯も食べたい。


なのにりっくんちの冷蔵庫は空っぽで。

こんなことなら昨日のうちに、材料を買い出しに行っておけば良かった。



お腹が空いて死にそう。

そのせいで、余計に苛々する。