全部、私からだった。

「私は汗かいてないからいいってば」

「寝てる時でも汗かくし、それに……昨日寝る前にもたっぷりかいたじゃねぇか」


抱いている私を見下ろして、りっくんはまた意地悪な笑みをみせた。


思わず昨日のことを思い出して、燃えているのかと錯覚するほど顔が熱くなる。



浴室で、りっくんはボディソープのボトルの頭をシュコシュコと連続で押す。そうして手にたっぷりとった液体を、両手をこすり合わせて泡立てながら、

「りっくんが多恵ちゃんの身体を洗ってあげましょうねぇ」

なんて、ふざけた口調で言う。



「やだぁ。りっくん変態!」

慌てて浴室を出ようとしたら、後ろから抱きすくめられて、もの凄い力で引き戻された。



私を腕の中に閉じ込めたまま、

「多恵、それ最高の褒め言葉」

と、耳元で囁いた後、その唇は私の首筋をそっと撫でた。