全部、私からだった。

ゆっくりと顔を近づけ、その唇に私のそれをそっと重ねた。



真一文字のキス。



皆人くんとの、私のファーストキスもそうだった。

あの時も、私から奪ったんだっけ。



唇を離してほんの少し隙間を作ると、りっくんはゆっくり目を開けて、


「多恵、今お前、他の男のこと考えたろ?」

冷ややな視線を私に向けた。



どうして……。

どうしてこの人には、全て見透かされてしまうのだろう?